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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

というのは、その夏の旱魃やら秋ぐちの大洪水で、特に、水滸の周辺は五、六百里にもわたってひどい飢饉を来したのである。で、宋江はこんな時とばかり泊内の穀倉をひらいて難民の救済にあて、蓄えの物は糠もすくい出し、羊、鶏、耕牛までも食いつぶしていたのだった。

「このうえは、東昌府と東平府を食うしかない」

「もう銭糧を貸せなどと手間暇かけているのは愚だ」

「さもなくば、この梁山泊の者もみな乾あがってしまう。こんなところを官軍に見舞われたら一トたまりもないぞ」

事実、泊中の炊煙がもう細々になりだしていたのである。馬糧、兵糧、少しでもあるうちにと、全員の声が高い。

ここにおいて、盧俊儀もついに一方の大将をひきうけ、また一軍は宋江が首将となった。そしてかつての一案にしたがい、どっちでも先に向う所の城市を陥落させた者が、梁山泊のあるじとなることもまた約束された。

「では、先だってまず、先主晁蓋の霊堂で、いずれがいずれへ向うか、籤を引いてきめましょう」

これも宋江の発言だった。

その結果。

盧俊儀が東昌府をひき、宋江は東平府をひきあてた。

盧の麾下にしたがうもの、呉用、公孫勝、関勝、呼延灼、朱同など水陸七千人――