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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

連れは、柴進と戴宗と、そして浪子燕青だけをつれ、あとは自由行動にさせておいたのである。いわゆる六街三市の人口やその殷賑は、さすが大宋の帝都で何とも讃えようがない。空には月があり、ぬるい人いきれも匂うようで、封丘門、馬行街などはわけて灯の海か燈籠の花園さながら、不夜の城とはこれかと思われるばかりだった。

「おや、ここは色街ではないのか」

「ええ、たぶん廓でしょうよ」と、燕青は根が北京育ちのいなせで伊達な若者だったので粋な道にも通じていて――「道の両側をごらんなさい。ずらと木札に四季の造花を飾って女の名前が書いてあるでしょう。みんな花魁の廓名であれを“煙月牌”と申しますのさ」

「ほ、一軒のこらず、いずれも両側はお茶屋らしいの。こころみに、どこかへ登楼って、ちょっと一酌いたそうか」

宋江にしてはめずらしいことだ。燕青が小粋な若党姿であるほかは三名ともみな歴乎な非役の武家か官人といった風な身なりなので、茶屋では上客と見たか、下へもおかない。

しばらくは、妓をよんで、いわゆる通な“きれいごと遊び”に時をすごしていたが、そのうち斜向いの、わけて一軒すばらしい大籬の揚屋に、チラと見えた歌舞の菩薩さながらの人影に、