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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
そのうちに、天下大赦の令があった。
元々、軽罪なので、高毬も恩典に浴したが、そうなると、矢もたてもなく、東京へ帰りたくなった。が、帰っても、さっそくの職はなし、さて、どうしたものと、柳に相談すると、
「じゃあ、おれの親戚の董へ手紙を書いてやろう。それを持って帰んなさい」
と、いってくれた。
四年ぶりで、高は古巣へ舞い戻った。――さっそく、手紙を持って、城内金梁橋の近くという宛名の人をさがし歩いた。
「ははあ、この店だな、董将士の家は」
構えも立派な薬種問屋である。
主の董に会って、柳の手紙をしめすと、董は彼の前身も問わず、ふたつ返事で、のみ込んだ。
「そうですかい。四年も臨淮においでなすっては、生れ故郷の王城でもご不案内におなんなすったはむりもない。てまえどもは、商売がら、諸方の官家へもお出入りしておりますから、そのうち、なんぞお勤め口でも心がけましょう。ま、ごゆっくりなすって下さい」
高は、好意を謝して、半月ほど逗留していた。その間に、彼の多芸や才気煥発な質を見たものか、ある日、董が紹介状を書いて、
「どうです。いつまで、遊んでるのももったいないでしょう。