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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
、こんな大ヤマを張れる相談相手は、托塔天王、いや晁旦那よりほかに、誰があろうと、お見込み申して、やってまいったような次第で」
「いやよくわかった。だがその、大ヤマを張る儲け仕事たあ、いったいなんだね」
「ようござんすか、ここで申しあげても」
「あ。ちょっと待ちな」と、晁蓋も念を押されて立たざるを得なかった。扉に鍵をかけ、窓の帳も垂れて――「さ。安心して、話すがいい」
「じつあ、近いうちに、北京は大名府の梁中書が、十万貫てえ金銀珠玉骨董を、開封東京へ、密々に送り出すはずですが、よも、ご存知でござんすまい」
「知らぬ。それはまた、なんのために」
「梁中書の女房の親父、いま宋皇帝の朝廷では最高の地位にある蔡大臣への、誕生日祝いに贈るッてえわけなんです」
「まあ、閥族同士の公然な大贈賄というわけだな」
「そうですよ、それにきまってまさアね。いわばみんな、庶民の汗や膏や、よからぬからくりで作った不義の財。そいつをこちとらが、狙ッてぶんどったところで、天道様も、よもやこち徒だけを悪いたア仰っしゃるめえて考えますがね」
「去年は、途中で賊のために、盗られたとかいう噂だったが」
「ですからさ、旦那。