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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
つまり、その二つを、一挙に併せてやろうという目企みだが、ぜひ君ら三兄弟にも、その仕事にのッてもらいたいという晁蓋の切なる望み。……で、かくいう呉用が誘いだしに参った次第だ」
「ほんとですか、先生」
兄弟は、眼をかがやかした。短命二郎の阮小五などは、感激のあまり、自身の首すじを平手で叩いて、
「待ってました。この首は、この漢の値打を知って買ってくれる人のためにあるようなもンでした。なあ哥き」
「そうだとも。この漢一匹、もし先生が買うと仰っしゃるなら、いつでもと思っていたのに、そのうえ、晁蓋さんまでが、あっしどもを見込んで、力を借りたいというのなら、一も二もありやしません。早速ここで誓いましょう。どんな秘密でも打明けておくんなさい。こう見えても、裏切るような下種どもじゃござんせん」
「じつは、こうだ。――この七月十五日、朝廷最高の顕官蔡大臣のもとへ、その人の誕生祝いとして、値十万貫におよぶ金銀珠宝が北京からひそかに送りだされる。――贈りぬしは北京の大名府に君臨する梁中書夫妻。――もとよりその財貨宝玉は、すべて悪政の機関から搾りとった民の膏血にほかならぬ。……これを奪うのは天の誅罰といえなくもあるまい。