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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
「いやいや、公孫先生、おあわてなさるな。――ご紹介いたしましょう。このお方は」
言いかけるのを引き取って、呉用は、自分から加亮智多星と名のりを告げ、そして、
「こんなところで、ふとお会いできようとは、じつに意外。一清道人、公孫勝のお名は、夙に江湖(世間)で伺っていました」
「さては、貴殿が呉学究加亮先生でございましたか。さても、広いようで世間はせまい。しかし、さすが晁家のお知り合いは違ったもんですな」
「奥にはまだ、今日しも、心をゆるしあった幾人かが寄っていますが。……ご主人、ひとつ公孫勝氏も、その座へおひきあわせしようではないか」
「先生のおゆるしとあれば」
晁蓋は先に立って、奥なる客間へあらためて、また新しい一人を加え、阮の三兄弟と、食客の劉唐を交じえ、ここに一堂に会する者七名となった。
「思えば、不思議な」
晁蓋はやがて言った。
「先頃てまえは、わが家の棟に、北斗七星が落ちると夢見て、眼をさましました。ここに偶然、七人の顔が揃ったのも、夢の知らせ、事成就の吉兆でもありましょうか」
「げにも」
と、呉学人は、うなずいた。
「これこそ晁氏の積善の報いだろう。かえすがえす幸先はよい。