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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

一が拍子合い、二がお容貌、三がいちもつ、四がお金、五が暇のあること」

「暇と金なら、あり余るぜ」

「お容貌だってとてもとても。もしわたしが若けりゃあ捨ててなんかおきはしない」

「三の男の物なら、おれのものは、驢馬ほどなものはある。どんな商売妓だろうが、嫌泣きにでも泣き往生させずにはおかないよ」

「おやまあ、たのもしい。けれどまだありますよ、いッち難かしい一つがね。拍子合いといって、首尾と縁の機ッかけ。これがねえ、旦那え」

「まだ、渡りがついてねえのかえ」

「あれでもやっぱり亭主は亭主で、朝に晩に饅頭売りの武大めが、金蓮や金蓮やで、くっついていますしね。その隙を狙う才覚ですもの、生やさしい苦労と芸当じゃございませんでしょ」

「わかってるよもう、その骨折りは。まだ何か所望があるのか」

「じつはね旦那、たび重なって申しあげにくいんですが」

「ああよそにいる息子の嫁娶り入費か。それも要るだけは出してやる。……やるがさ、どうだよ、隣の鶯は」

「あしたの昼、そっと籠から盗んで、うちの奥へ誘い込んでおきますから、いいようにお啼かせなさいましな」

「えっ。ではもうはなしは出来てるのか」