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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
したが、三日も山寨を留守にしたおめえにしろ、やはりなんの土産もなかったじゃねえか」
「ちげえねえ。だが、ちょっと耳よりな土産はあるんだ」
「なんだい、耳よりたあ」
「帰る途中で、兎捕りの李吉っていう猟人を捕ッつかまえて聞いたことだが」
「はははは、かあいそうに、兎の皮はぎを捕まえて、そいつの皮をまたはいだのか」
「ばかいえ。この陳達が、そんなしがねえ猟人や百姓いじめをするものか。お互い三人が義の盃を交わしたとき、第一に誓ったのは、盗賊はしても弱い者泣かせはしまいぞということだった。李吉の手引きで、おれが目ボシをつけたのは、そんなケチな相手じゃねえ」
「ふウむ。猟師の李吉に手引きさせて、どこへ押込みに入ろうというのか」
「史家村の大荘院よ。あの旧家は見かけ以上な物持ちだそうだ」
「兄弟。そいつアよしねえ。史家村ときちゃあ鬼門だろうぜ」
「どうして」
「そこの名主といやあ、九紋龍の家だろう。とんでもねえ話だ。あいつに当って行けるものか。しかも県城の役署からおれたちの首に三千貫の賞金が懸っていることも承知だろうし、手具脛ひいているものと覚悟もせざアなるめえが」
「ところが、李吉のいうにゃあ、なるほど九紋龍の腕前は、四県無敵ッてえ評判だが、なんたって、旧家のお坊ッちゃんだ。