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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
あなたに巻き添えを食わせては申しわけない。――そのうちに天下大赦の日でも来たら、晴れてまた、お目にかかろうじゃありませんか」
「じゃあ君にも、いつかはお上に帰順して、まじめな良民になりたいという希望はあるんだな」
「それやあ先生、だれにだって、そういう希いはありますよ。ところがその希いを逆にひン曲げて、悪へ悪へとこち徒を追い込むようなのが今の宋朝の官人どもではありませんかね」
「いや悪吏は跋扈しているが良吏だっているにはいるのだ。君に一点の耿心さえあればいつか天のおたすけもあろう。悪い治世もそうそう長くは続くまいからな」
宋江は言った。こんな境遇にさすらいつつも、依然彼は彼らしい君子の風を失っていない。
それから五日ほど後、孔家では旅立つ二人のために、一家挙げての惜別の宴がひらかれた。老主から兄弟までが、なんとかして引き留めようと努めたのはもちろんだが「またのご縁をたのしみ」という強っての辞意に諦めのほかなく、衣服銀子などの餞別を積んで、この歓送宴となったものだった。
さらに孔明、孔亮の兄弟は、荘丁を連れて、二人の立つ道を二十里も送って行った。そして、別れにのぞんでは、