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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

宋江は天を仰いで思うらく「げに不孝の罪はおそろしい。ついにこの身の業ばかりでなく、この気のいい端公ふたりまで巻きぞえにして、いま死ぬのか」と。

しかし、なお、あきらめきれず、生への必死な執着をしぼッて。

「お待ちなさい、船頭さん」

「まだいってやがる。おれはただの船頭じゃねえんだよ」

「わかりました、長江の水賊ですね」

「水賊か何かしらねえが、水を枕にうたた寝のとこへ、てめえらの方から網にかかって来たわけだ。この商売、やめられねえじゃあるめえか」

「かねは上げます、ですから、そんな刃ものざんまいは、ゆるして下さい」

「おいおい、あんまり当り前なことをいうなよ。もとよりこっちは身ぐるみがご常法だ。その上、一匹はおろか半匹も、命は助けちゃおかれねえ」

「な、なぜですか」

「きまッてら。てめえたちは、江州送りの小役人と流刑人だろう。助けてみろ、次にはこっちへ御用風が吹いてくら。さあ四の五をいわず眼をねむれ。薄刃料理が嫌いなら、一切合財、裸になっててめえで水の中へどんぶり沈んで行くがいいや」

船頭はぬっと立って、まず宋江の襟がみへ、その片手を伸ばしかけた。――するとこのとき、長江の上流から矢のごとく流れてきた一隻の快舟があり、ざ、ざ、ざ、と舷にしぶきを見せながら近づいて来るやいな、