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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
――やがては、芦花散る江頭の船べりに霜の戈をならべ、葭の葉かげに戦艇をしのばすなどの水滸の寨に、かの天地の諸星を会するにいたる先駆の第一星こそ、まさにこの人だったのである。
――さて、少華山を去って。
飄としてここに旅へ吹かれ出た史進の姿は、いかにも宋朝時代の若人好みな粋づくりだった。
白羊羅紗の角を折った范陽帽子には、薔薇色の纓をひらめかせ、髪締めとしている紺の兜巾にも卵黄の帯飾りをつけている。
あくどい原色は嫌いなのだろう、服地も白麻の裾みじかな戦袍で、紅梅織の打紐を腰帯とし、美しい長剣をつるし、青と白との縞の脚絆という軽快さ。もちろん足拵えは長旅に耐えうる八ツ乳の麻沓だった。
だが、身なりは粋に好んでみても、旅の宿とか食い物は選べもしない。野に伏し山に寝ねだった。それも二十日余りの旅路。ほどなく渭州という一市街についた。
「ははあ、ここにも経略府(外夷の防寨関)の一城があるのだな。ひょっとしたら、王ご師範の消息がわかるかもしれぬ」
歩いてみると、城内も六街三市といった賑やかさだ。雑閙の角に、茶舗が出ている。ずっと入って、床几から、
「おい、おやじ。