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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,847 字 · 149 页
まったくでえ、死ぬ気で飲んでら、馬鹿にしねえぜ。何をいっていやがるんでえ。おかみさん、何をいってるんだか、分りますめえ。御道理で、私あ自分にも分らねえんだからね、何ですぜえ、無体、癪に障るから飲みますぜえ、頂かあ、頂くとも。酌いどくんねえ、酌いどくんねえ、」
「可いから、まあおあがんなさい。」
「む、ああ、旨え、馬鹿にしやがら、堪らねえ旨えや。旨えが嬉しくねえ、七目れんげめ、おかみさん、お憚りながらそういっておくんねえ、折角ですが嬉しくねえッて。いや、滅相、途轍もねえ、嬢的にそんなこといわれて堪るもんか、ヘッ、」
と頸を窘めたが、
「内証だ、嬢的にゃ極内だがね。旦の野郎にそういっておくんねえ、私あ厭だ、大嫌だ、そんな奴にゃ口を利くのも厭だから、おひかえ下さいやし、手前ことはなんて頼んだって挨拶なんぞするもんか。
こう小馬鹿にするぜえ、ヘッ、癪だ、こいつをおさえるにゃ呷切だ、」とぐッと飲む奴。
「…………」
「こうおかみ、憚りながらそういっておくんなせえ、済まねえがね、私あ気に食わねえから勘定をして貰ったって、お礼なんざいわねえって、」
お賤は気が練れた苦労人、厭な顔はちっともしないで、愛想よく、