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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,847 字 · 149 页
二十二
」
お夏はこれを、うっとりとなって聞くのであった。
二十二
「せめてその骨でも拾って、腕まもりでも拵えよう、」
とまっしぐらに立向った、火よりも赤き気競の血相、猛然として躍り込むと、戸外は風で吹き散ったれ、壁の残った内は籠って、颯と黒煙が引包む。
「無茶でさ、目も口も開きやしねえ、横もうしろも山のような炎の車がぐるぐると駆けてまさ、から意気地はありません。
夢のような気です。まして棄鉢に目を眠った処を、裾からずるずると引張るから、はあ、こりゃおいでなすったかい。婆さんが衣ものを脱ぐんだろう、三途川の水でも可い、末期に一杯飲みてえもんだ、と思いましたがね、口へ入ったなあ冷酒の甘露なんで。呼吸を吹返すと、鳶口を引掛けて、扶け出してくれたのは、火掛を手伝ってました、紋床の親方だったんでさ。
焼あとへね、遠山さんもおいでなさりゃ、その新聞社の探訪の、竹永丹平というのも来ました。親方と四人でね、柳の根方でしばらく、皆で、お嬢さんの噂ばかりしましたっけ。夜露やら何やらで湿ッぽくばかしなって、しらしらあけの寒いのに皆悄れて別れたでさ、それッきり。
どこへおいでなすったか、お行方は知れませんや。