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しきぶこうじ

式部小路

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,847 字 · 149 页

青空文庫

四十四

て、円い頤一面に胡麻のよう、これで頬がこけていれば、正に卒業試験中、燈下に書を読む風采であった。

四十四

お夏がまた叱言でもいうことか、莞爾して、

(さあ、お酌をして上げようね、)

愛吉は手術台で、片腕切落されたような心持で、硬くなって盃を出した。

お夏の手なる銚子こそおかしけれ。円く肩のはった、色の白い、人形の胴を切った形であったもことわり、天女が賜う乳のごとく、恩愛の糸をひいて、此方の猪口に装られたのは、あわれ白酒であったのである。

さて、お肴には何がある、錦手の鉢と、塗物の食籠に、綺麗に飾って、水天宮前の小饅頭と、蠣殻町の煎豌豆、先生を困らせると昼間いったその日の土産はこれで。丹平がここに金之助に語りつつある、この黒旋風を驚かしたものは、智多星呉軍師の謀計でない、ただ一盞の白酒であった。――

丹平語を継ぎ、

「そこで医学士が、

(どうです、親方、いけますか、)などとおっしゃる。

お嬢さんの下さるもんなら、溝泥も甘露だといった口にも、これはちと辟易だ、盃を睨み詰めて、目の玉を白く、白酒を黒くして、もじつくと、山の井さんが大笑いして、

(いけますまいな。