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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,847 字 · 149 页
十八
「私の仲好なの、でも役雑なんです。先刻来た時きっとまた威張ってぞんざいな口でも利いたんでしょう、それで極まりが悪いんだよ。」
と取做すようにいいながら、再び愛吉を顧みて、
「馬鹿だわねえ。」
「さあ、お前さん、どうぞ。」といった、これならば入られる。
「ほんとうになまけもんで仕ようがないの、」
「お、」
「酔ッぱらっちゃ喧嘩するが商売なの。」
「お嬢、」
「その癖弱いのよ。」
「お嬢さん、」
と行詰って、目と口を一所に、むッ。突当ったように句切りながら、次第ににじり込んだ框の上。
割膝で畏まって、耳を掻いて頸を窘め、貧乏ゆすり一つして、
「へへへ、口の悪いッちゃねえ、お嬢ッ公。」
十八
「でも虫が知らせたんだよ。愛吉、お前のお庇で、そうやってさ、もうちっとで車が引くりかえりそうになりました。」
「済みませんでございます。」
「済みませんでございます。」と口真似をしたが、何となく品があった。
「人を馬鹿にしていらっしゃら、」
「先刻一度来たんだって、」
「ええ、つい、その、」
額をぴっしゃりで頸を抱える。
「それではお前、入って待っておいでなら可いのに、戸外へ出るもんだから、また掴合いなんかするんだわ。