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しきぶこうじ

式部小路

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,847 字 · 149 页

青空文庫

二十六

「さよう、」

「驚きますな。」

と遠山は止むことを得ざらん体に、

「あの窈窕たるものとさしむかいで、野天で餡ものを突きつけるに至っては、刀の切尖へ饅頭を貫いて、食え!……といった信長以上の暴虐です。貴老も意気が壮すぎるよ。」

「先生、貴下はまた、神経痛ごときに、そう弱っては困りますな。」

「何、私はもう退院をするんだから構わんが。」

とて愁うる色あり。

丹平は打頷き。

「しかし、仏の像の前で、その言行を録した経を読むと同一です。ここでお夏さんの話をするのは。まあ、お聞きなさい。」

と声を低うしていった。

この突当右側の室に、黒塗の板に胡粉で、「勝山夏」――札のそのかかれるを見よ。

二十六

病室の主客が、かく亡き俤に対するごとき、言語、仕打を見ても知れよう。その入院した時、既に釣台で舁がれて来た、患者の、危篤である事はいうまでもない。

「実はその人を歎美して申すのですから、景気よくお話はしますけれども、第一私がもうこういう内にも、(難有う)といって、人の志を無にせん風で、最中を取って、親か、祖父の前ででもあるように食べなすった可愛らしさが、今でも眼前にちらついてならんでがすて。