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しきぶこうじ

式部小路

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,847 字 · 149 页

青空文庫

」

「容子がかわりました。」

「そうか、」

期したりといわんよう、落着いていって、丹平は椅子を放れる。

と同時である。

「大変だ、」と激くいうと、金之助は寝台からずるりと落ちたが、斉く扉から顔を出して、六ツの目は向、突当りの廊下へ注いだ、と思うと金之助が身を挺して、少しよろけながら廊下をすたすたと其方へ行く。後から竹永が続いたので、看護婦も引添うた。

遠山も丹平も心はおなじ、室の外から、蔭ながら、別を惜もうとしたのであったが。

五番の室の前へ行くと、思いがけず扉が開いていたので、思わず両人、左右の壁へ立ち別れた。

と見ると哀しき寝台を囲うて、左の方に、忍び姿で、粛然として山の井医学士。枕許に看護婦一人、右に宿直の国手が彳んで、その傍に別に一人、……白衣なるが、それは、窈窕たる佳人であった。

その背後に附添ったのが、当院の看護婦長。

入口を背にして、寝台の裾に、ひょろひょろとして痩せた、三尺帯は愛吉である。

ト遠山の附添福崎が、静に室に入って行って、二三語を交えたのは、病人に対する金之助の同情の節を伝えたのであろう。

医学士の傍に居た看護婦が、一脚椅子を持って出て挨拶をした。