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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
さりとて、この苦慮苦戦を、あえてつづけていれば、残る三千も、野に白骨をさらすだけのものでしかない。――さらには、開封の都から、官の援兵が馳せくだって来る惧れなども大いにある。
「……どうしたものか」と、宋江と呉用とは、ついに最後の腹のすえどころにせまられていた。
「じつはの、宋先生。ここに、たった一つの残る策がないでもない」
「なに、軍師には、ご一案があるというのか。ではなぜ早く、その一計を」
「いや」と、呉用はあわてて手を振った――「それがさ、すぐ可能と思えるなら、決して猶予はしていません」
「何か、難かしい計略でも」
「いや行方のわからぬ人物を、急遽、探し出して来ねばならん。ところが、その消息といったら、皆目あてがないのです」
「ははあ。では彼の――一清道人とも呼ぶ公孫勝――を、あなたも思いだしておられたか」
「さよう。仰っしゃる通りだ。高廉の妖法をやぶるには、我れにおいても妖法に通じた道者を味方の内に招くしかありませぬ」
「それならひとつ、薊州へ人を派して、八方、探させてみたらどんなもので」
「しかし薊州といっても広い」
「なんの、戴宗が陣中にいる。いずれ一清道人のこと。