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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
「といって、どうする?」
「仕方がねえ。山じゅうの寨門を堅固に閉めておいて、てめえ、二龍山へ一ト走り行って来い」
「えっ、二龍山へ」
「そうだ。二龍山の宝珠寺にいる花和尚の魯智深へ泣きつくんだ。後々には、きっと貢物をいたします。ですから、ここんとこはどうか助けると思って、ひとつご加勢ねがいます、とな」
「合点だ」
裏山づたい、一日半。
――ここ宝珠寺の破れ本殿では、時に、三人の怪人が、三ツの曲に、片胡坐を組みあっていた。
ひとりは花和尚魯智深である。
次が、青面獣の楊志。
もひとりは、虎殺しの名のある「行者の二郎」武松だった。
このほか。――べつに山門の方にも、四人の小頭がいた。
もと孟州の牢番せがれ、金眼彪の施恩。
それに、操刀鬼の曹正。これは二龍山の下で小酒屋をやっていたあの男だ。
あとのふたりは夫婦者で、孟州は十字坡の峠茶店で、凄い商いをやっていた菜園子の張青と、その女房、母夜叉の孫二娘なのである。
これらはいずれもその後、ここに武松あり花和尚ありと知って、身の都合から集まり頼って来た者どもだった。
「……よし、わかった。おかしらたちが、何と仰っしゃるか、ま、お取次だけはしてやるから、俺について来い」