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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
白花蛇の楊春を道案内とした、李俊と張順の二人だった。この二人は、一ト足先に渭河の埠頭へ行って、大小幾隻かの船を手にいれ、なにやらそこで待機していた。
つづいて翌日には、花栄、秦明、徐寧、呼延灼の四人とその部隊が来て、これは渭河の両岸に、埋伏の計をとって、影をひそめる。
また、三度めには、宋江、呉用、朱同、李応などが見え、先に来て待っていた張順たちの船に乗り込む。この船は、埠頭へ寄せて、ただの荷船か何ぞのように見せかけていた。
かくて、ふた夜ほどは、何事もない――
三日目の朝まだきである。
まだ川靄もほの白いうちに、しきりと、鴻雁が遠くで群れ立ち、やがて鑼声鼓笛の音と共に、櫓手の船歌が聞えだしていた。近づくのをみれば、花やかな三隻の官船である。特に、勅使船の舳には、
欽奉聖旨
西岳降香
大臣 宿元景
と書いた金繍縁の黄旗がゆるい川風になびいていた。
「あっ?」
と宋江は目をそばだてた。
むかし、九天玄女の夢告をうけたとき宿ニ遇ウテ喜ブ――という一語をたしか聞いている。これかもしれない? 彼と呉用とはそれッと船を少し進めさせて、
「やあ! お待ちください……」