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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
あくる日、城中の小者を捕えてただしてみれば、あわれこのときすでに、玉嬌枝は、父との別れをかなしみ、賀の夜ごとな執拗さにもたえきれず、井戸に身を投げてしまっていたものであったという。
喪旗はとりでの春を革め、僧は河北の一傑を語ること
華州地方の数日間は、まったくの無政府状態、そのものだった。
なにしろ稀代な大騒動ではある。――県城から市街の半分は一夜のまに灰と化し、奉行は霊山の廟で殺され、勅使宿元景は監禁されていた少華山からコソコソ都へ逃げ帰るなど。――どう見ても、これでは政府や法律がある世上とは思われない。
しかし、梁山泊の輩は、これをもって、
天ニ代ッテ、道ヲ行ウ
ものと称し、風のごとく水滸の寨へひきあげていた。そして例のように、凱旋の宴、分捕り品の披露、新加盟者の紹介などがおこなわれ、ここだけには、独自の“仲間掟”も制裁もあり、また彼らだけの“おらが春”も醸されていた。
まもなくまた、泊中の大兵は、徐州沛県の芒蕩山へ出撃して行った。そしてこれにも打勝ったすえ、やがて芒蕩山の三魁といわれる三名の賊将をとりこにして帰り、彼らの降を入れて、即日、新顔の列に加えていた。