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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

ところが、真夜中の頃、盧家のおもて門と裏門から二、三百人の捕手がとつぜん土足でなだれ込んだ。事すでにただ事でない。一瞬の屋鳴りがやむと、はや主人の盧は縄付きとされ、家じゅう大乱脈の中を、深夜、管領庁へと引ッ立てられて行った。

北京の長官、梁中書は、あくる日、白洲にひきすえられた彼を見た。

――呼び出された賈氏、李固の両人も、やや離れて、平伏している。

「盧俊儀!」と、中書はやがて、声あららげて。「そのほう、北京に住むこと五代の由緒ある良民にてありながら、梁山泊の賊徒と通じ、不逞を謀むよしの聞えあるが、言い開きはあるまいな」

「あっ、もしッ……」と、盧俊儀はさけぶ――「覚えなきことにございまする。身の不覚より、偽売卜者にたばかられ、一時は足を入れましたものの」

「通らん。さような言い訳は通るまい。賊と密盟なきものなら、なんで百余日も梁山泊にとどまりいよう。また、賊が解き放すはずもない。すでに、なんじの女房と番頭の李固から夙に訴状も出ており、かつまた、なんじの書斎より常々反逆の意をふくむ一詩も見つけ出されてある」

「あいや、仰せですが、それはてまえの作った詩でなく、偽易者めが、先にわが家を訪れたときに、たまたま書きおいてまいったもので」