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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

衆口紛々である。一人も歓迎はしていない。智清禅師は、ほとほと困った。――すると、都寺(僧職)が、うまい一案を提出した。

「馬鹿と鋏はなんとやら、そのような人物も、当山附属の野菜畑の管理所へやっておくには、案外、適任ではおざるまいかの」

「なるほど、なるほど。野菜畑の目付ならいいかもしれぬ」

「なにせい、あの酸棗門外の菜園ときては恐ろしく広い。のみならず、附近の兵営からは兵隊どもが荒らしに入るし、もっと厄介なのは、門外にある無頼漢街じゃ。年中、墻を破ッて、瓜や菜根は大びらに盗んでゆくし、農耕の馬や牛も、いつのまにか食ってしまう。……といって、番人も山僧どもも、なにもいえん。なにしろ奴らは凶悪なので」

「それや妙案。いかがでしょう禅師。風来の魯智深とやらには、試みにまず、その菜園目付役でもやらせて御覧じあっては」

「むむ、衆意同案とあれば」

一山の断により、さっそく首座(僧職)がその旨を、智深にいいわたす。智深は、ふくれ面だった。たとえ、化主、浴主の末僧でも、なにか僧職の端にはと期待していたらしい。

「まあまあ、やがてはだんだんに、茶頭、殿主、蔵主、監寺などの上職にも、修行次第でと申すもの。