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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
が、当座はひとまず菜園のほうで」
おだてられて不承不承、智深は酸棗門外の畑へ移されていった。管理所だの菜園目付のといえば聞えはいいが、来てみればただの大きな畑番の番小屋。「……ふざけやがって。ようし、わが輩をこんな所の案山子に使おうというなら、おれの起居にも干渉はさせんぞ。そんなら、いッそ気楽でいいが」と、ここに花和尚魯智深は、ここの大地主にでもなったような気で持ち前の“野性の自適”をきめこみだした。
日ならずして、近所のごろつき街の空気には異変が起っていた。いつもの調子で畑荒らしに入った奴が、巣へ帰って言いふらしたのだ。
「おいおい、行ってみや。番人が代ったぜ。こんどの奴ア八頭芋みてえな面をした凄え坊主だ。おまけに、墻門に何やらむつかしい掲示なんぞ貼りだしやがる」
「なに代ったって。どれどれ、どんな野郎か、面を見ようぜ。それに掲示たあ何だい?」
与太もンどもはつながって、掲示の杭を取り巻いた。文にいわく。
――爾今、当山ノ僧人魯智深ヲシテ菜園ヲ管理セシム。耕夫ノ令、厨入ノ百菜、スベテ右ノ者ニ任ズ。
猶又、無用ノ者、入ルベカラザル事。犯サバ、懲シメニ会ワン。