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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

そしてこういう俺が、その晁蓋だ」

「あっ、だ、旦那がですかい。……じゃあ、聞いておくんなさい。あっしゃあ、東州の生れで」

「あ、たれか来た。早く用向きだけ、ひと口にいえ」

「じつア、ひょんな早耳から、ど、どえらい儲けぐちを知ったんで、それをお報らせに来たんでさ。旦那なら相談になると思って」

「よしっ、後で聞こう」

「後でッたって、この縄目じゃあ」

「助けてやる。――俺の甥になれ、甥によ。五ツ六ツの年に村を離れていたが、風の便りを聞いて尋ねてきたという風にな。……いいか、うまくばつを合わせろよ。場面は俺が仕組んでおく」

なに食わぬ体で、晁蓋はその足で、離亭に休んでいる雷横の席へ顔を出した。

「おや、もうご出立のお仕度で」

「やあ晁旦那。時ならぬ時刻に、えらい厄介をかけて、すまなかったな。夜も白んできたから、ぼつぼつ出かけようと思う」

「ご苦労でございますなあ。またどうぞ、近くへお越しのせつには」

門のほうでは、はや部下たちが、槍、棒、刺叉などの捕具を持って勢揃いし始めている。雷横もまた、颯爽と出ていった。

見送りにかこつけて、晁蓋はその後についていき、そして、門長屋から曳きズリ出された縄付を見て、