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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
「おそれいりまする。貴尊のお方に、師などと仰がれる身ではございませぬが」
「そして、今日以後は、この東宮にいるがよい。もう王馬の館へは帰るに及ばん」
「や、それは困ります。私にとっては、大事なご主君。二君には仕えたくございません」
「いや、すでに先刻、王馬のおん許へ使いをつかわし、高※(「にんべん+求」、第4水準2-1-50)をわが家の臣にゆずッてたまえと、ご諒解を願うてある。※(「馬+付」、第4水準2-92-84)馬はまろが義兄、いわば一門と申すもの。そちの義心は尊いが、決して、義が欠けるわけではない」
「では、それほどに」
高※(「にんべん+求」、第4水準2-1-50)は、感泣にふるえるがごとき姿をした。
かくて彼は、東宮付きの一員となりおわせ、日がたつほど、端王の重用いよいよ深かった。
元来、俗才に富み、諸芸百般通ぜざるなし、という道楽者上がりの高が、風流公子とはいえ、世間知らずのお若い東宮に侍いたのであるから、これはいってみれば、彼が得意とする毬を掌の上に乗せたようなものだった。
ところが。
この幸運の毬は、まだまだ、どこまで彼の掌にその幸をもたらしてくることか。