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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

と、ひと口、がぶと茶を飲みながら、手下の目明しどもに、委細をはなした。

「そいつア大変だ。石碣村といやあ、梁山泊のこっち岸」

目明したちは、口々にみな言った。

「あの辺は、山東きッての難場だと、漁師ですら言っていらあ。見渡すかぎりな浦曲は葭や葦の茂りほうだい。その間には、江とも沼ともつかぬ大きな水面が、どれほどあるかわかるめえ。それに川までが入り組んでいて、いわば人間の棲み家に向かない所さ」

「そんなところへ潜り込んだ賊を捕まえるなんざ、まるで手ぶらで野鳥を追ッかけにいくようなもの。しかも相手が相手ですぜ」

「よほどな兵備で、馬や舟をも使い、捕手なンて、ケチな人数でなく、堂々と官軍仕立ての大部隊でくり込みでもしねえ限りには、行っても無駄だ」

何濤にしても、正直なところ、自信はない。これ幸いと、彼の手下の言をそのまま奉行に告げて、捕手陣編成の再考をうながした。

「いかにも、道理ではある」

奉行は、重大決意を見せて、

「よろしい。ではもう一名、べつにしかるべき与力を差し添えてやろう。そして人数も五百名に増し、装備には武器庫の二番庫も開いて使え。かつまた、これは北京大名府の命であり、蔡大臣のご厳達にもよること。