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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
が、その日、病で寝ていた彼の室へ、
「即座に出頭せよ」
という高の厳命が、つたえられた。
迎えに来た兵は、みな日頃の弟子である。否めば、彼らの立場がなかろう。王進は、病床を出て身じたくした。
「母上、ご心配くださいますな。こう起きてしまえば、さほどでもありません。新任の近衛将軍のお怒りはごもっとも。よくおわびいたして戻りますれば」
兵に囲まれて出て行く子を、彼の老母は、憂れわしげに、門の外へ出て見送っていた。
近衛府では、閲軍式も終わって、そのあと、高新将軍の就任祝いの酒が下賜され、営門や幕舎は沸いていた。
「申しわけがございませぬ」
王進は、高※(「にんべん+求」、第4水準2-1-50)の前に伏して、こう詫びた。
「ほかならぬ日、病躯を押しても出仕をと存じましたが、何ぶん一人の母が余りにも案じますので、つい親心にほだされて、参列を怠りました。どうぞいかようにもご処分のほどを」
「いうまでもない。この高※(「にんべん+求」、第4水準2-1-50)が禁門軍の上に臨むからは、昨のごとき、軍の弛緩は断じてゆるさん。まずもって、汝のような軍を紊す似而非武士から糺すのだ」