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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

また黄信は八番目に。

さらに燕順以下は、阮の三兄弟のつぎにすわった。そして旧将、新星の二十一頭目が、ここ聚議庁から指揮をとり、たとえ官軍何万、いつおし襲せて来ようとも、という陣容を新たにしていた。

しかし一抹の淋しさがないでもない。

ひとりここに欠けていた宋江である。――その宋公明の消息如何は、以来、ここの仲間には忘れえない関心事となっていた。もちろん、彼らはその手先を使って、たえず江を渡らせ、その飛耳張目を八方へくばらせてもいた。

悲心、長江の刑旅につけば、

鬼の端公も気のいい忠僕に変ること

話はすこし前へもどって。

さて宋江は、その日、故郷宋家村の村ぐちへ来て、村社の前までさしかかると、

「おや、めずらしい」

村年寄の張とぶつかり、こう驚きのあいさつと、よろこびをかけられていた。

「押司さま。ようまあお帰ンなすったの。あのいやな事件も、一年半ぶりで、なんとかおゆるしのお沙汰が出たとか。これからは村にいて下さッしゃれ」

「おう、爺さんか。おまえお達者かね。あの事件は、おゆるしとなっても、父の死に目に会わなんだこの不孝者、村の衆へもあわせる顔がありませんよ」