轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

よけいなまねをしやがると、ただじゃあおかねえぞ」

「これは迷惑千万」

「なに迷惑だと」

とたんに、若者の拳が、唸りをもって、真ッ向へ来たので、宋江は無意識に身をかわした。「……うぬ」と、突ンのめった巨体から、こんどはほんものの怒りが燃えたらしい。ばッと土けむりが立ち群集が飛び退いた。しかし投げられたのは宋江でなく、若者のほうだった。

奮然と、彼はまた起ったが、とっさに膏薬売りのするどい脚の先が、若者の胸いたを蹴とばしていた。よろよろと、見物の中へ後ずさった若者の顔はもう蒼白となっていて、

「み、みやがれっ。このままじゃあ、すまさねえぞ」

その捨てぜりふを烏賊の墨として、街中のどこへともなく逃げて行った。

このため、見物も散り、辺りは味けない辻景色に返ってしまい、膏薬売りの男もまた、そそくさと荷物をかたづけて、先へ行く宋江のあとを急ぎ足で追っていた。

「もし、失礼ですが」

「お。何ですか」

「もしやあなたは、山東の及時雨さまではありませんか」

「えっ。あなたは」

「河南洛陽のもので、薛永といい、あだ名を病大虫とよばれています。……が、祖父はいぜん経略使の閣下につかえていた軍人で、後、浪人ぐらしがつづいたため、てまえもこんな身過ぎをいたしている始末でございまする」