轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
ときにこの江州一円の奉行閣下は、蔡得章なる人で、当代宋朝の権臣、蔡京の九番目の息子にあたるところから、諸人は彼を、
蔡九さま
と、よんでいた。
その蔡九の奉行所から、宋江の身柄は、ただちに牢城の方へ引き渡される。宋江はかねがね聞いていたことなので、所持の金銀は惜しみなく係の諸官吏にわけ与えた。この頃、とくにこの世界では、賄賂はちっとも悪徳でない。相互の常識なのである。で、管営、差撥、書記、牢番にいたるまでが、
「いい新入りだ、気前のいいやつだ」
と、宋江にたいしては、みな愛相がよかった。例の新入りが食う殺威棒の百叩きも受けずにすんだ。
ところがある時、巡回の軍卒頭が、そっと宋江へ注意した。
「おい、君は抜かってるぜ。なぜいちばん大事な牢節級(江州両院の院長)へお袖の下を差上げておかねえんだ。たいへんお気をわるくしている様子だぞ」
「へえ、そうですか」
「そうですかって、平気でいるが、さっそく何とかしたらどうだい」
「いや、ほっときましょう。かまいません」
「おや。……おいおい、あとでひとを恨むなよ。ここの節級さまときたら、腕ぶしはすぐれているし、気は烈しい。