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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
――それには、祝いの籠の品々たしかに受領とみえ、さらに末文には、
――妖人宋江は、国賊のこと、朝廟の大法に照らし、天下ご直裁の例に倣うとの仰せである、すなわち、檻車に乗せ、使軍に護らせ、すみやかに都門へ押送するように。
なおまた。そこもとはいうまでもなく、黄文炳なる者の功も、奏聞に入ってあれば、他日かならず、恩賞ならびに、栄の叙任もあらむ。
と、細々あった。
折ふし取次の者から、黄文炳が見えましたという。ここ連日、黄は日参のかたちなのである。蔡は彼の顔を見るとさっそく言った。
「文炳、よろこんでいいぞ。まもなくそちは栄職につける」
「ほほう。これはまた、夢のような仰せを」
「嘘と思うのか。戴院長が帰って来て、父ぎみの返書をもたらしたのだ、その結果だ」
「や。もう帰りましたので」
「そちの功も、天子に奏上、不日、恩命あらんとある」
「して、宋江の処刑は」
「いそぎ都へさしのぼせとのご下命だわ、まあ、これを見い。ほかならぬきさまのこと、きさまだけには見せてつかわす」
「はっ、これはもったいない」
黄は、うやうやしげに押しいただき、蔡大臣の返翰を読み初めていたが、鋭い目が、やがて再三、再四と、その小首をかしげさせ、ついに思いきった風でいった。