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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

「お。どんな山寨か叩いてみよう。ひとしく緑林(盗賊仲間のこと)の者なら、同じ毛色の旅烏がどこへ来ているかなんてことも、ちゃんと見ているかもしれぬ」

だが、この心あては、むなしく終った。そこの賊寨で訊いてみても、公孫勝の居処は、杳として誰ひとり知っていない。知れず仕舞いとなったのである。

しかし決して、訪ねたのは、むだではなかった。そもそも、ここの三賊首も、地契廟の星の数に入るべき宿命であったものに違いない。これが、はからず天のひきあわせとなって、飲馬川の山寨上における一夜の盛宴から、たがいに志をかたり、身素姓を名乗り合い、ついに義を結ぶこととはなった。

まず、目玉が血みたいに赤い、飛から順に、こう名乗った。

「ご高名な戴院長にお目にかかり、こんなうれしいことはございません。あっしは嚢陽生れのやくざ者、人肉を食らったむくいで、火眼の猊とアダ名され、分銅鎖の使い手と、自分ではウヌ惚れておりますが、そちらの兄貴二人にくらべたら、けちな野郎でございます。どうぞ兄貴の素姓をおききなすっておくんなさい」

「いや弟分から、そういわれちまうと、晴れがましくてちと後が困る。