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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

――が、有態に申します。自分は真定州の生れで、苗字は孟、名は康、あわせて孟康といい、本職は船大工で、それも大江を上下するような大船造りが得意です。……ところが、朝廷の官船奉行と気が合わず、大喧嘩の果て、緑林なかまへ落ちころび、生れつき、こう肌の白いところから、玉幡竿の孟康なんて、人から呼ばれておりますんで」

「いや、ごていねいに」

戴宗は、礼を返して、さてもう一人の頭目へ向い直った。その人たるや、一見、どこか傑出している。年配もまた、三人のうちではいちばんな年かさだった。

裴宣。またの名は、鉄面孔目。

孔目とは、裁判所づきの与力の職名である。もと京兆府の司法部に勤めていたが、公事訴訟には、いつも人民の声を正しくきいて、少しも、よこしまないところから、逆に上司の奉行や腐敗役人からツマはじきされ、いささかな落度を大きく罪せられ、顔に金印(いれずみ)を打たれて沙門島へ流された。――いや流される途中を、ここにいた飛、孟康などの輩が、義心のもとに、護送役人を斬って助け出し、わが山寨へかつぎ上げてしまったのだった。

「はははは。どうもあまり自慢にもなりませんな」