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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

「ホホホ。またわたしをかつぐんでしょ。まあ、たいそうなごきげんですこと」

「嘘なもんか、ほんとだ。巧雲。おまえもよく面倒を見てやってくれ」

巧雲とは、この新妻の名であった。七月七日、七夕の生れという珍らしい生れ性。そのせいか天性の肌には何ともいえない潜みがただよい、ものいえば息も香ぐわしい風情がある。で、早くから艶色無双の評判がたかく、十六、前髪を剪るや剪らぬまに、薊州の押司、王に娶われたが、つい二年ほどで先立たれ、やがて楊雄に嫁してからでも、まだ一年にもなっていなかった。

美僧は糸屋の若旦那あがり。法事は色界曼陀羅のこと

一方は、かの戴宗と、錦豹子の楊林。

以後、いくら歩きさがしても、ついに公孫勝の消息は知れなかった。

そこで一おう引っ返そうということになり、約束のある飲馬川へ立ち寄って、裴宣、飛、孟康を誘い、偽官軍の列をなし、蜿蜒、梁山泊へむかっていそいだ。

いわば戴宗としては、主目的の使命には失敗したが、代りに、錚々たる新党員四名と、三百の兵力、十車に余る財などを、みやげに連れて帰ったわけである。

賀莚に歓迎の楽に、また新たな気勢を加えて梁山泊の山海は沸いた。