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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

その夜は非番だったが、奉行の自宅で、祝いに呼ばれていたのである。

石秀と街で別れて、彼はそっちへ出向いたが、鬱々と、腹が煮えてたまらない。またいつにない彼の悪酔に、奉行や朋輩も目をそばだて、もう飲ませるなと警戒したが、止めればこそだ、なおさら意地になって飲む。

結局、彼は配下の者に舁がれて、ぐでんぐでんになって帰った。玄関は大騒ぎである。潘爺さんやら迎児やら、妻の巧雲もまた出て来て、さらに二階の寝室までかつぎ上げるといった騒ぎ。

「どうなすったの、あなたはまあ……」

「なんだと! この売女め」

「あら恐い目。ま、着物を脱いで、寝床へお横になりなさいよ」

「触るなっ。けがらわしい」

仰に寝たまま、楊雄は足をあげて、どんと彼女を蹴とばした。

「臭いっ、男臭いっ。あっちへ素去れ!」

「酒臭いのはご自分じゃありませんか。どうかしてるわ、この人は」

「よけいなお世話だ。面を見るのもムカつくわ。すべた、私窩子、消えて失せろ。この部屋に寝るのはゆるさん」

「じゃあ、勝手になさい。知りませんよ、風邪をひいても」

巧雲は唇の端をチッと鳴らしながら扉を排して隣室へ行ってしまった。楊雄は大ノ字なりにふんぞり返っている。