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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
「と思ったら、罠弓を外しゃあがって、お庭つづきの地内へころげ落ちてしまったわけでさ。おそれいりますが、裏庭を通していただき、ご地内を探させて貰えませんでしょうか」
「何かとおもったらおやすいことだよ。いいとも、いいともよ! だがの解の兄弟、まだ外は暗い、そこでお茶でものんで話していなよ」
「でも、ごやっかいの上に、お世話をかけては」
「なんの、わしも一緒に行ってみたいし、朝茶は何を措いてもだ。まあお待ち」
これが案外に悠長だった。やっと毛旦那が荘丁に鍵を持たせて、裏庭の木戸へ出て来たときは、はや嶺の端に、朝陽が出ていた。
「旦那、めったにここは開けたことがないので、錠前が錆付いていて開きはしませんぜ」
荘丁の声を聞くと、毛旦那は言った。
「なに開かない。開かなかったら金鎚を持ってきて叩きこわして入るがいい」
そうして入って、裏山じゅうを探してみたが、どうしたか、虎はどこにも見あたらなかった。
牢番役の鉄叫子の楽和、おばさん飲屋を訪ねてゆく事
おかしい? と解珍、解宝の兄弟はともに首をかしげ合う。しかし毛旦那が住む屋敷地域の裏山一帯、これ以上は歩き探す余地もなかった。