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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
「内臓に入って、内臓を切り破る策です」
「おもしろい」
呉用は見抜いた。これは使える、と。
しかし孫立たち八人へは、一日おくれて後から来るがよいと命じておき、呉用とその軍勢は、即刻、現地へ向けて先発した。そして祝家村の陣営――宋江の幕舎へつくやすぐ、まず事情とこの一計とを呉用が参陣の手土産として、彼に語りつたえたものなのだった。
× ×
次の日、孫立たちの男女一行も、ここの陣所に着いた。すぐ、ひきあわせの小宴。そして、各身素姓を名のり合う。
宋江は眉をひらいた。
ここ不利な戦いをつづけ、面目を失ったのみか、四人の味方の将を、敵の手に捕虜としてゆだねている。
かつは多くの部下も死なせ、日夜、やるかたない悶々を抱いていたところである。が、いまはまったく心身も冴え返った。呉用が来た。また思わざる味方が加わった。彼らのもたらしてきた奇計なども、まさに天来の救いともいうべきか。宋江は天の星を拝した。
「戴院長」
と、あくる日、呉用は陣中の戴宗をよんで、急使を托した。
「ご足労だが、一ト飛び梁山泊まで行ってもらいたい。――至急、泊中の四名の者をこれへ急派して欲しいのだ」