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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
「こころえました。誰と誰ですか」
「鉄面孔目の裴宣。聖手書生の蕭譲。通臂猿の侯健。玉臂匠の金大堅」
「みな一芸の者ですな」
「む。それと、仮装用のこれこれの服飾をたずさえ、すぐ駆けつけてくれるように頼む。なお、詳しくはこの中に書いてある」
一封を彼にさずけ、踵をめぐらして来るところへ、柵の哨兵がつたえて来た。
「扈家荘の扈成という者が、陣見舞の酒肉を持って、お目にかかりたいといってまいりましたが」
「扈家荘とは、敵の独龍岡を繞る三家の一つではないか」
「はっ。西の麓にいる祝氏の一族で」
すると、幕舎の内から宋江が出て来て。
「いやさしつかえございません。伝令、ここへ通せ」
扈成は、司令部の前まで来ると、膝をついて、宋江を再拝した。
「自分の妹は、ご存知の扈三娘こと、一丈青というものにござりますが」
「あ。あの凛々しい女将軍の兄上か」
「女だてらに、乱軍の中を駆けまわり、ついに尊軍のとりことなってしまいました。めんぼくもございません」
「なんの、擒人を出したのはお互いだ。恥じることはない」
「が、じつは……」
「何を言い難そうにしておられるのか」
「妹がとりのぼせて、尊軍へお手抗いいたしたのも、じつは祝氏の一男と縁組みの約があったからでございまして」