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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

吉川英治『三国志(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 页

青空文庫

二

と、眼をつけたので、すぐ死骸の背から剣を奪りあげてあらためてみた。

剣の柄には、金を沈めて、青の二字が象嵌されている。――それを見て、初めて知った。

「あ。この者が、曹操の寵臣、夏侯恩であったか」――と。

伝え聞く、侯恩は、かの猛将夏侯惇の弟であり、曹操の側臣中でも、もっとも曹操に愛されていた一名といえる。――その証拠には曹操が秘蔵の剣「青・倚天」の二振りのうち、倚天の剣は、曹操みずから腰に帯していたが、青※(「金+工」、第3水準1-93-2)の剣は、侯恩に佩かせて、

「この剣に位負けせぬほどな功を立てよ」

と、励ましていたほどである。

二

青※(「金+工」、第3水準1-93-2)の剣。青※(「金+工」、第3水準1-93-2)の剣。

趙雲は狂喜した。

かかる有名な宝剣が、はからずも身に授かろうとは。

「これは、天授の剣だ」

背へ斜めにそれを負うやいな、趙雲はふたたび馬へ跳びのって、野に満つる敵の中へ馳駆して行った。

そのとき曹操の軍兵はすでに視野のかぎり殺到していた。逃げおくれた百姓の老幼や、離散した玄徳の兵を、殺戮して余すところがない。趙雲は義憤に燃ゆる眦をあげて、