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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

吉川英治『三国志(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 页

青空文庫

三

――なんで汝らの精励に対して、一裲の衣を惜しもうか」

と、大機嫌で、一人一人の者へ蜀江の錦一匹ずつ頒け与え、

「さあ、位階に従って席に着け。さらに杯の満を引こう」と、促した。

三

その時、楽部の伶人たちは、一斉に音楽を奏し、天には雲を闢き、地には河の水も答えるかと思われた。

水陸の珍味は、列座のあいだに配され、酒はあふれて、台上台下の千杯万杯に、尽きることなき春を盛った。

「武府の諸将は、みな弓を競って、日頃の能をあらわした。江湖の博学、文部の多識も、何か、佳章を賦して、きょうの盛会を記念せずばなるまい」

酒たけなわの頃、曹操がいった。

万雷のような拍手が轟く。王朗、字は景興、文官の一席から起って、

「鈞命に従って、銅雀台の一詩を賦しました。つつしんで賀唱いたします――」

銅雀台高ウシテ帝畿壮ナリ

水明ラカニ山秀イデ光輝ヲ競ウ

三千ノ剣佩黄道ヲ趨リ

百万ノ貔貅ハ紫微ニ現ズ

と朗々吟じた。

曹操は、大いに興じて、特に秘愛の杯に酒をつぎ、

「杯ぐるみ飲め」

と、王朗に与えた。

王朗は、酒を乾して、杯は袂に入れて退がった。文官と武官と湧くごとく歓呼した。

すると、また一人、雲箋に詩を記して立った者がある。