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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
吉川英治『三国志(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 页
二
いや隆々として若い盛りにあるのだ。呉にこそ、風雲もあれ、時流もあれ、豈、一曹操のみが、天下を左右するものであろうぞ」
「彼の強味は、何よりも、天子の勅命と号していることです。いかにわれわれが歯がみしてもこれに対しては」
「あははは」と、一笑して「――僭称の賊、欺瞞の悪兵。故にこそ、大いに逆賊操を討つべきではないか。彼が騙りの名分を立てるなら、われらはもって朝命を汚す暴賊を討つべしとなし、膺懲の大義を世にふるい唱えねばならん」
「さはいえ、水陸の大軍百万に近しと申す。名分はいずれにせよ、彼の強馬精兵に対するわれの寡兵と軍備不足。この実力の差をどうお考えあるか」
「優数常に勝たず。大船常に小船に優らず。要は士気だ。士気をもって彼の隙を破るのは、用兵の妙機にある。――さすがに、御身は文官の長。兵事にはお晦いな」
と、苦笑を送った。
二
容貌の端麗に似あわず、周瑜には底意地のわるい所がある。君前、また衆臣環視のなかで、張昭を躍起にさせておいて、その主張をことごとく弁駁し、嘲笑し去って和平派の文官達の口を、まったく封じてしまったのである。
その上で。
彼は、やおら孫権に向って、自己の主張を述べ出した。