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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

吉川英治『三国志(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 页

青空文庫

二

二

零陵の太守劉度は、嫡子の劉延をよんで、

「いかに玄徳を防ぐか」を、相談した。

父の顔色には怯えが見えている。劉延は切歯して、

「関羽、張飛などの名がものものしく鳴り響いていますが、わが家中にも、道栄があるではありませんか」と、励ました。

「※(「形のへん+おおざと」、第3水準1-92-63)道栄ならそれに当り得るだろうか」

「彼ならば、関羽、張飛の首を取るのも、さしたる難事ではありますまい。つねに重さ六十斤の大鉞を自由に使うという無双な豪傑ですし、胸中の武芸もまた、いにしえの廉頗、李牧に優るとも劣るものではありません。日頃から豪勇の士を何のために養っておかれるのですか」

劉延は、そういって父に一万騎を乞い、その※(「形のへん+おおざと」、第3水準1-92-63)道栄を先陣に立てて、城外三十里に陣取った。

玄軍一万五千は、すでにこの辺まで殺到した。漠々の戦塵はここに揚り、刻一刻、その領域は侵された。

「反国の賊、流離の暴軍、なにゆえ、わが境を侵すか」

乱軍の中へ馬を出し、※(「形のへん+おおざと」、第3水準1-92-63)道栄は大音に云って迫った。有名なる彼の大鉞は、すでに鮮血に塗られていた。