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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

吉川英治『三国志(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 页

青空文庫

一掴三城

一

よろしく申し伝えてくれ」

と、追い帰すように、孫乾を帰した。

あくる日。――魯粛が、

「都督、きのうは、何であんな意外なお顔をなすったのですか」

「ムム。玄徳が油江口におることでか。それは聞き捨てならんではないか」

「なぜです」

「彼が油江口へ陣を移したとすれば、それは明らかに、南郡を攻め取ろうという野心があるからだ。われわれ呉軍が、莫大な軍馬銭粮を消費して、赤壁に勝っても、まだその戦果はつかんでおらぬ。――それを玄徳に先んじられては何のために戦ったか、意味をなさぬことになる」

「その儀は、疾くから私も、油断がならんと思っていました」

「さっそく、玄徳の陣を訪問したうえ、一本釘を打っておこう。――供の兵馬や贈り物の準備をしてくれい」

「承知しました。私も共に参りましょう」

一掴三城

一

一方、孫乾は油江口にある味方の陣に帰ると、すぐ玄徳に、帰りを告げて、

「いずれ周瑜が自身で答礼に参るといっておりました」と、話した。

玄徳は、孔明と顔見合わせて、

「これほどな儀礼に、周瑜が自身で答礼に来るというのはおかしい。何のために来るのであろう」

「もちろん、南郡の城が気にかかるので、こちらの動静を見に来るのでしょう」