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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

吉川英治『三国志(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 页

青空文庫

狂瀾

一

「さては?」

と、愕きをなして、急に、周瑜の本陣へ急いで行った。――そして帳外にたたずみ、ひそかに主客の席をうかがっていた。

狂瀾

一

本来、この席へ招かれていいわけであるが、孔明には、玄徳が来たことすら、聞かされていないのである。

以て、周瑜の心に、何がひそんでいるか、察することができる。

「……?」

帳の外から宴席の模様をうかがっていた孔明の気持は、まさにわが最愛の親か子が、猛獣の檻に入っているのをのぞいているような不安さであった。

――が、玄徳は、いかにも心やすげに、周瑜と話しているふうだった。

――ただ、その背後には、剣を把って、守護神の如く突っ立っている関羽が見える。――孔明はそれを見て、

「関羽があれに侍立しているからは……」

と、少し安心して、そっと屋外へ出ると、飄然、江岸にある自分の仮屋のほうへ立ち去った。

よもや、孔明がついこの席の外にたたずんでいるとも知らない玄徳は、周瑜との雑談の末、軍事に及び、ようやく話も打ち解けてきたので、そばにいた魯粛をかえりみて、

「時に、臣下の孔明が、久しくご陣中に留っておるそうですが、ちょうどよい折、これへ呼んでいただけますまいか」