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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

吉川英治『三国志(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 页

青空文庫

群英の会

一

恟々として、曹操の前へすすみ、かつ百拝して、このたびの不覚を陳謝した。

曹操は、厳として云った。

「過ぎ去った愚痴を聞いたり、また過去の不覚を咎めようとて、其方たちを呼んだのではない。――要は、将来にある。かさねて敗北の恥辱を招いたら、その時こそ、きっと、軍法に正してゆるさんが、この度だけはしばらく免じておく」

意外にも、寛大な云い渡しに、蔡瑁は感泣してこういった。

「もとより、味方敗軍の責めは、われらの指揮の至らないためにもありますが、もっとも大きな欠陥は、荊州の船手の勢が総じて調練の不足なのに比して、呉の船手は、久しく陽湖を中心に、充分、錬成の実をあげていたところにあります。――加うるにお味方の北国兵は、水上の進退に馴れず、呉兵はことごとく幼少から水に馴れた者どもばかりですから、江上の戦においても、さながら平地と異ならず、ここにも多分な弱点が見出されます」

それは曹操も感じていることだった。しかし、この問題は、兵の素質と、長日月の訓練にあることなので、急場には如何ともすることができないのである。

「では、どうするか」との問いに、蔡瑁は次のような献策をもって答えた。