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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

吉川英治『三国志(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 页

青空文庫

五

銅雀台――。銅雀台のごとき大土木をおのれ一個の奢りのために起したということこそ、はや彼の増長慢のあらわれと哀れむべきではありませんか」

「先生。それよりは、何が故に、ここにふたりの女性さえ彼に送れば、魏の曹軍百万が、呉を侵すことなく、たちまち北方へかえるなどという予断が下せるのか。その本題について、はやくお話を触れていただきたいものだが」

周瑜は二度も催促した。魯粛の聞きたいところもそこの要点だけだ。何を今さら、銅雀台の奢りぶりなどを、ここで審さに聞く必要があろうか――といわんばかりな顔つきである。

「いや、北国の知人の話は、もっと詳しいものでしたが、では大略して、要をかいつまんで申しましょう。――その曹操は、銅雀台の贅に飽かず、なおもう一つ大きな痴夢を抱いているというのです。それは呉の国外にまで聞えている喬家の二女を銅雀台において、花の晨、月の夕べ、そばにおいて眺めたいという野心です。聞説、喬家の二名花とは、姉を大喬といい、妹を小喬と呼ぶそうで、その傾国の美は、夙にわれわれも耳にしているものです。――思うに、古来英雄の半面には、こうした痴気凡情の例も、ままあるのが慣いですから、この際早速、提督には、人を派して、喬家の門へ黄金を積み、二女を求めて、曹操へお送りあれば、立ちどころに彼の攻撃は緩和され、衂らずし