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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
吉川英治『三国志(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 页
「もはや誰のために戦おう」と、城門をひらいてことごとく曹操に降服してしまった。
曹操は荊州に居すわって、いよいよ対呉政策に乗り出した。
――呉を如何にするか。
これは多年の懸案である。しかもこの対策に成功しなければ、絶対に統一の覇業は完成しないのである。
「檄文を作れ」
荀攸に命じて、檄を書かせた。もちろんそれは呉へ送るものである。
いま、玄徳、孔明の輩は、その余命をわずかに江夏、夏口に拠せて、なお不逞な乱を企ておる。予、三軍をひきいて、疾くこれに游漁す。君も呉軍をひきいて、この快游を共にし給わずや。漁網の魚は、これを採って一盞の卓にのぼせ、地は割譲て、ながく好誼をむすぶ引出物としようではないか。
という意味のものだった。
ただし曹操としても、こんな一片の文書だけで、呉が降参してこようなどとは決して期待していない。いかなる外交もその外交辞令の手もとに、
(これがお嫌なら、またべつなご挨拶を以て)といえる「実力」が要る。彼は呉へ檄を送ると同時に、その実力を水陸から南方へ展開した。
総勢八十三万の兵を、号して百万ととなえ、西は荊陜から東は※黄にわたる三百里のあいだ、烟火連々と陣線をひいて、呉の境を威圧した。