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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

吉川英治『三国志(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 页

青空文庫

「――はてな。一大事があるといって、荊州から、迎えの急使がみえた。行くがよいか。行かぬがよいか?」

その日、玄徳は、劉表の書面を手にすると、しきりに考えこんでいた。

孔明が、すぐ明らかな判断を彼に与えた。

「お出向きなさい。――おそらく、呉に敗れた黄祖の寇を討つためのご評議でしょう」

「劉表に対面した節は、どういう態度をとっていたがよいだろうか」

「それとなく、襄陽の会や、檀渓の難のことをお話しあって、もし劉表が、呉の討手を君へお頼みあっても、かならずお引受けにならないことです」

張飛、孔明などを具して、玄徳はやがて、荊州の城へおもむいた。

供の兵五百と張飛を、城外に待たせておき、玄徳は孔明とふたりきりで城へ登った。

そして、劉表の階下に、拝をすると、劉表は堂に迎えて、すぐ自分のほうから、

「先ごろは襄陽の会で、貴公に不慮の難儀をかけて申しわけない。蔡瑁を斬罪に処して、お詫びを示そうとぞんじたが、当人も諸人も慚愧して嘆くので心ならずもゆるしておいた。どうかあのことは水にながして忘れてもらいたい」と、いった。

玄徳は、微笑して、

「なんの、あのことは、蔡将軍の仕業ではありません。