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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

吉川英治『三国志(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 页

青空文庫

――それを強味に、それを根本に持って、あなたは南の四郡を伐り取ったがよろしいかと思われます」

「その四郡の現状は」

「――武陵には太守金旋があり、長沙には韓玄、桂陽には趙範、零陵には劉度などが、おのおの地盤を占めております。この地方は総じて、魚米の運輸よろしく、地も中原に似て、肥沃です。もって長久を計るに足りましょう」

「それへ攻め入るには」

「湘江の西、零陵(湖南省・零陵)から手をつけるのが順序でしょう。次に桂陽、武陵と取って、長沙へ進攻するのが自然かと思います。要するに、兵の進路は流れる水です。水の行くところ、自然の兵路といえるでしょう」

賢者の言は、みな一つだった。玄徳は自信を得た。味方の誰にも異論はなかった。

建安十三年の冬、彼の部下一万五千は、南四郡の征途に上った。

趙雲は後陣につく。

もちろん玄徳、孔明はその中軍にあった。

この時も、関羽は留守をいいつかり、あとに残って、荊州の守りを命ぜられた。

玄徳の軍来る! ――の報は、たちまち零陵を震駭せしめた。戦革の世紀にあっては、どこの一郡一国であろうと、この世紀の外に安眠をむさぼっていることはできなかったのである。